のれんの染め方のひとつに「ろうけつ染め」があり、日本では平安時代から続く伝統的な方法で
昨今では主に京都で受け継がれており、京都友禅にも蝋を使った染色法があります。
中国のウイグル自治区に残されている遺跡にも、似たような方法で染められたと思われる布が
発見されており、かつては世界各地で独自の発展を遂げて来ました。
着物や反物を染める際に行われる「ろうけつ染め」は、筆を用いて溶かした蝋を
布に塗って模様や文字などを描き、染料で着色をした後、蝋を水洗いして落とすと
蝋を塗っていた箇所は白く染められ、複数の色を使用する場合はこの工程を繰り返し行います。
蝋が乾燥してひび割れが生じることで独特の亀裂模様を作り出すことができ、
一般的な方法では決して再現することができない自然で独特の風合いを醸し出します。
製作する際には着物や反物に用いる染料ではなく、防水性や耐水性に優れたインクだけではなく
感光性や蛍光色などのインクを使用することもあります。
「ろうけつ染め」を採用したのれんを製作すれば、日本古来から続く伝統ある染色法による
独特の風合いでエキゾチックで厳かな雰囲気を出し、道行く顧客にアピールできること間違いありません。
化学反応を活かしたのれんの染め方
反応染めとは、主に木綿の染色に利用されており、元々はドイツで開発された
化学反応を活かした染色法で、日本国内では硫化染めが主流でしたが
昭和40年代頃から移行するケースが相次ぎ、手ぬぐいや風呂敷などの製造に採用されています。
アクリル性の反応液と染料を塗布すると布の上で化学反応を起こして固着しますが、
利用する素材によっては一旦乾燥させてから蒸して固着させることがあります。
ほぼ制限無くさまざまな色を利用することができ、現在流通しているほとんどの布はこの方法で染色されています。
従来の染色法では生地の線維をかき消すように塗りつぶすものでしたが、反応染めの場合は
素材の細かな凹凸や繊維の織り目などの風合いを残したまま染色することが可能です。
生地に含まれているセルロースに反応して染色が行われるため、水を与えても反応しないことから
屋外で使用した際には、悪天候に見舞われても色落ちがしにくいのに加えて、安心して洗濯することもできます。
屋外での使用が予定されている場合はもちろんのこと、汚れても洗濯して綺麗にできるという
使用目的であるのれんには打って付けの方法で、常に印刷がしっかりと保たれた状態が継続し
道行く人に伝えたい内容を的確にアピールし続けることが可能です。
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